DICTIONARY
用語集
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アリゲーター

爬虫(はちゅう)綱ワニ目アリゲーター科に属するワニの総称。同科Alligatoridaeのものは性質が比較的おとなしい。頭部が幅広くて吻端(ふんたん)が円みを帯び、口を閉じたとき下あごの歯は、上あごの歯の内側に隠れて外からみえない。頭骨や鱗板(りんばん)の構造の違いによって2群に分けられ、アリゲーター亜科には1属2種、カイマン亜科には3属5種が含まれる。アリゲーター属のうち、ヨウスコウワニAlligator sinensisは全長2メートル、アリゲーター科の他種とかけ離れて中国の揚子江(ようすこう)下流域に分布している。しかし、ヨーロッパ、アメリカ大陸から本種に近いワニ化石種が発見されており、過去における連続分布が推測できる。アメリカ合衆国のミシシッピ川下流域からメキシコ湾沿岸およびフロリダ半島の淡水に生息するミシシッピワニA. mississippiensisはアリゲーター科のなかで最大の種で、全長2~4メートル、最大は6メートル近くになるが、大きな個体は著しく減少している。性質はおとなしく、雌は水辺に塚の巣をつくって産卵し、卵の保護から育児までめんどうをみる。カイマン亜科はメキシコ南部から熱帯アメリカに分布し、大半が2メートル前後の小形である。とくにコビトカイマンPaleosuchus palpebrosusとブラジルカイマンP. trigonatusは全長1.2メートルほどにすぎない。しかし、クロカイマンMelanosuchus nigerは全長3~4メートル、最大5メートルに達する大形で、アリゲーター科では唯一の危険種である。子ワニがペットにされるメガネカイマンCaiman crocodilusは中央・南アメリカに広く分布し、4亜種に分けられている。